第十三回愛連吟詠フェスティバル
令和5年3月5日
吹く風に春の気配が感じられた3月5日(日)、「第13回愛連吟詠フェスティバル」が尼崎市総合文化センター・あましんアルカイックホールに於いて開催された。
午前10時の開会に先立ち、チケット交換の列は別棟のオクトホール入り口でUターンするほど多くの人が来場された。また、小野岳礼先生も大会役員として司会を務められた。
大会は、開会の辞、国家斉唱、愛連賛歌合吟と続き、次の優秀者吟詠第一部では令和四年度吟士権者決定詩吟大会の上位入賞者16名が出演、うち兵庫中央岳風会からは、横山寿恵さん「早に白帝城を発す
李白」、準々吟士権者 久田雅美さん「偶感 西郷南洲」の美しく力強い吟が詠じられた。
第二部では同じく令和四年度吟士権者決定詩吟大会上位入賞者15名の吟詠があり、当会より準々吟士権者 松浦慶岳先生が律詩「書壊(後編) 西郷南洲」を風景や雰囲気、心情が胸に迫る詩を朗々と吟じられた。
続いて、燦々優勝者決定詩吟大会上位入賞者「ジュニア・シニアの部」があり、大会会長 愛国詩吟総連盟理事長 池田哲星先生のご挨拶の後、来賓祝辞では松本眞尼崎市長のご挨拶があった。昨年は遠方から出場予定の方々がコロナ禍の為に少なからず欠席されたが、今年は欠席者もなく、福井・愛知・徳島・愛媛県からも来場され、「各府県選抜者吟詠」では当会会長 吉田岳頌先生が袴姿も凛々しく、声高らかに「霊山(京都東山)徳富蘇峰」を詠じられた。また中程では詩舞が舞台一杯に披露された。
歴代第二部吟士権者による構成番組は、唐の二大詩人李白と杜甫を主題とした「詩仙・詩聖 名吟抄」が綴られた。兵庫中央岳風会からは平成三十年度吟士権者岩城伸風先生が、第一部『「詩仙」の詩』の中で「春夜洛城に笛を聞く」を吟じられ、第二部『「詩聖」の詩』では平成二十七年度吟士権者 平山賀宝弓さんと「岳陽楼に登る」を連吟された。第一部『「詩仙」の詩』の舞台セットのスクリーンは城壁を煌々と照らす満月と満天に輝く星が表現され、幼い頃から詩文を創作し、故郷を離れて各地を旅し、詩仙、絶句の名手と呼ばれた李白の詩が吟じられた。生涯のほとんどを定住する場所を持たず、酒仙と言われる程に酒を愛し、現在残されている詩は壱余首もあるという。唐の時代のみならず、中国詩歌史上において、杜甫と共に最高の存在とされる。
第二部は詩聖と呼ばれた杜甫の詩が詠じられた。杜甫もまた残されている詩は千四百五十余首と言われ、律詩の表現を大成させた。幼少の頃から詩文の才能がありながら「杜甫、一生憂う」と評され、杜甫の人生は現実の社会が杜甫の理想からかけ離れていたらしい。李白は杜甫より十一歳年上ながら同じ時代を共に遊び、酒を酌み交わした日もあったらしい。舞台のスクリーンは緑連なる山なみが表現されていた。
新型コロナウイルス、感染対策のマスク着用の政府方針は、令和5年3月13日以降個人の判断にゆだねるとの新たなフェーズへと移行し、3月6日は啓蟄の日である。会場を出るとまさに夕日がビルに隠れようとして、明日は春の光が暖かく迎えてくれそうである。
(広報部)