第四十回兵庫県壮年吟詠コンクール大会(一般三部)

 吟道に親しむ一般人に、日頃の吟道精進の成果を競う場として、また、吟詠の向上発展に資する目的で開催される兵庫県壮年吟詠コンクール大会(一般三部)は、新型コロナの感染拡大の影響で令和二年度の三十八回と令和三年度三十九回は中止されたが、三年ぶりの五月十五日(日)四会場で開催された。
 令和四年五月の現在は経済を回復したい政府方針や世間も感染対策に慣れて社会活動も徐々に復活。連休の後も新規感染者の増加は抑えられている中で、第四十回の一般三部総出吟者は五二六名。一会場あたり百三十名程が兵庫県中央労働センター・兵庫県民会館・兵庫県立のじぎく会館・神戸木材会館の四会場で競われ、決勝競吟は第一会場の兵庫県中央労働センターで行われた。平成二十九年度の総出吟者は五会場の六二〇名であったので、五年で一会場の百名近くが減少したことになる。成績発表は前半・後半に分かれて行われた。コロナ禍にあって例年にはなかった体温測定や飛沫防止板・マイクカバーが用意され、感染防止の為に前半の成績発表の後は出来るだけの退席が促された。入賞者は一会場三十名で合計百二十名。上位入賞者は一会場八名で合計三十二名が選出された。各会場の前半二名・後半二名の上位四名ずつ計十六名は、近畿決勝大会への出場資格が得られる。各々の会場の審査が終了すると、三々五々兵庫県中央労働センターに集合して決勝競吟が行われた。岳風会からは、決勝に「漢江」を吟じられた兵庫東播岳風会の山本美生子さんが進出された。
 兵庫県中央労働センターは兵庫中央岳風会の世話会担当で、会場委員長 奥田岳鈴先生を中心に早朝から会場の設営や終日大会運営をお手伝いした。若い人のテキパキとした姿が頼もしく、三年ぶりとあって多少の混乱はあったが決勝を含めた大会運営は無事終了した。着物姿の出吟者も見られて、摂楠流・関西吟詩・哲山流・関心流・紫洲流等々いろいろな流派からの出吟者は、財団本部から毎年指定される一般課題詩十吟題より一題を選んで吟じられるが、出場資格七十才以上。吟声・発生・音程・アクセント(発音)・詩心・態度の厳しい審査内容に加え、吟詠タイムは二分以内で超過ブザーが鳴ると失格となる。第一会場では残念ながら誤読や絶句、超過ブザーに十数名が失格と判定された。
 ロシアの侵攻によるウクライナの戦禍や資源価格の高騰、さらには世界的な食料不安等諸々の暗いニュースの中ではあるが、今日吟じられた七十才以上の人達は、戦中・戦後の混乱期に生を受け、その後をたくましく生きて経済を盛り上げ、日本の伝統芸能である詩吟を守り育てながら継承し、他方、多くの友を得て来られたようで、会場を後にしながら、マスクで口元はふさいでも目は笑顔で「おめでとう」「お疲れさま」「また会おうね」と手を振って会場を後にする。明日も日本が平和であることを願いながら。

 兵庫中央岳風会の成績は次の通り    (敬称略、出吟番号順)
  上位入賞
   前田 修 矢野延子
  入賞
   澤田泰弘 甲斐諄子 黒田澄世 細川清志 五十田睦子 島谷陽子
   木村正弘 廣岡清治 西村秀俊 井本あけ美 大森寿美子 亀井廣志

(広報部)

2022年05月15日